EVと蓄電池

電気自動車(EV車・PHV)に搭載されている走行用の大型蓄電池を、家庭用蓄電池として使うアイデアが注目されています。

確かに、普段は車として、非常時は蓄電池として使えば無駄がなく、ガソリン車と蓄電池を別で買うより安いかもしれません。しかし、いざ電気を使いたい際に、この方法で便利に使えるのでしょうか?

本記事では、電気自動車を蓄電池代わりにする場合に使える電気量の目安や使用方法などを解説します。これから何を買うべきかを判断する参考にしてください。

電気自動車に貯められる電気で何日間生活できる?

電気自動車に貯められる電気

電気自動車には、電力だけで走るEV車と、電気+ガソリンを使って走るPHV(ハイブリッドカー)の2種類があります。どのくらいの電気を貯められるかを示す数値は、いずれも蓄電容量(kWh)で表記され、車種によって蓄電容量が異なります。

たとえば、世界で最も売れている電気自動車の1つである日産「リーフ」が搭載しているバッテリーの蓄電容量は40kWhです。

40kWhがどのくらいの電力量なのかを理解しやすくするために、一日あたりの平均的な消費電力量を世帯人数別に紹介します。

【一日あたりの消費電力量(世帯人数別)】

世帯人数消費電力量(一日あたり)
一人暮らし6.1kWh
2人世帯10.5kWh
3人世帯12.2kWh
4人世帯13.1kWh
5人世帯14.8kWh

このように、40kWhは4人世帯が使用する電気の約3日分まかなえる電力量です。冷蔵庫や照明はもちろん、家族全員のスマートフォン充電やテレビ、エアコン、ドライヤーなど、一般的な電気の使い方をする生活が約3日間、可能になります。

https://www.tainavi-battery.com/library/172/

電気自動車の電気を家で使う方法

ここでは、電気自動車のバッテリーに貯めた電気を家で使う2つの方法について説明します。

車から直接電気を取る

電気自動車のバッテリーから電気を取り出して室内の家電製品に使うためには、まず、車から直接電気を取る方法があります。

トヨタのプリウスPHVにおける使い方は以下の通りです。

  • 付属品のヴィークルパワーコネクターに家電製品のプラグを差し込む
  • ヴィークルパワーコネクターをPHV充電口の普通充電インレット(充電用の差込口)に取り付ける
  • ヴィークルパワーコネクターから給電され、電気を使えるようになる

この方法で電気自動車のバッテリーに貯めた電気を室内の家電製品に利用するためには、その都度コードを電気自動車の近くまで引っ張ってくる必要があります。

日常的に使うには、便利とはいえないでしょう。

「V2H」を利用して家中に電気を送る

V2H(Vehicle to Home)とは、電気自動車のバッテリーに貯めた電気を家で使うための機器です。

電気自動車の充電コネクタを家の分電盤に接続することで、室内のコンセントにつないだ家電製品にEVの電気を使用できます。

いつものようにコンセントから電気が使えるため、電気自動車から直接電気を取る方法よりも利便性が高い方法です。

ただし、V2Hに対応した車種でないとこの方法は使えません。電気自動車を蓄電池のように使用したい場合は、あらかじめV2H対応車種を選ぶ必要があるのです。

V2H対応車種

日産の「リーフ」や「ノート e-POWER」、三菱自動車の「MINICAB-MiEV」や「MINICAB-MiEV Truck」など

また、V2Hにはパワーコンディショナなどの機器も必要な分、初期費用が多くかかります。

とはいえ、電気自動車の充電コネクタと分電盤を接続するだけで室内のコンセントから電気を使える便利さを考えると、V2Hを利用するメリットは大きいといえるでしょう。

V2Hは特有のメリットも

V2H

停電時には、電気自動車を蓄電池のようにバックアップ電源として利用できます。つまり、停電中にも自宅のコンセントが使えるため、普段と同じように電気を使って生活できます。

電気代が安い夜間電力を電気自動車に貯めて、電気代が高い日中に使えば電気代の節にもなります。また、電力使用量がピークになる時間帯に電気自動車に貯めた電気をV2Hで使えばピークシフトになり、環境にやさしい生活を実現できます。

V2Hは太陽光発電とも相性が良好です。V2Hと太陽光発電を連携させれば、蓄電池としての利便性がさらに高まります。

蓄電池と電気自動車を比較すると便利なのはどっちか?

蓄電池と電気自動車、どちらを購入したほうがよいかを判断する前に、充電方法や蓄電池として使用するシーンなどを具体的に考えてみましょう。購入費用や購入後のメンテナンス費用なども含めて検討するのがおすすめです。

具体的なイメージが湧かないという方は、蓄電池と電気自動車を比較した別の記事もご覧ください。

https://www.tainavi-battery.com/library/110/
https://www.tainavi-battery.com/library/734/

電気自動車を蓄電池代わりに暮らしに取り入れて便利に使おう

電気自動車は大容量のバッテリーを搭載しており、V2Hによって家庭用据え置き型蓄電池のように使うこともできます。

また、家庭用据え置き型蓄電池の設置費用を調べるには、タイナビ蓄電池の無料一括見積りが最適です。電気自動車と蓄電池のどちらがライフスタイルに合っているか、比較してみてはいかがでしょうか。