夜間電力は電気代が安いので、蓄電池に貯めておけば効率よく電気代を削減できます。蓄電池を上手に使って電気代を節約することは、家計に優しい方法と言えるでしょう。
今回は、蓄電池で電気代を安くできる理由や夜間電力の仕組みについて紹介します。
また、深夜電力と蓄電池を組み合わせると、どれくらい電気代を節約できるのかについても解説します。
深夜電力(夜間電力)とは?
深夜電力(夜間電力)は、時間帯によって電気代が変わる時間帯別電灯型の電気料金プランで使える電気です。
一日を時間によって区分し、日中の電気が割高になる一方で夜の電気代が安くなるのが特徴です。
深夜電力の料金は、昼間よりも3~6割程度安く設定されています。そのため、深夜電力を効率的に使うことで電気代を節約できます。
なぜ深夜電力は安い?電気料金の仕組み
深夜電力が安い理由は、電力会社の発電事情と人や事業者が活動する時間のギャップにあります。
消費者の活動が盛んで電気の消費が激しい日中と、世の中が眠りにつく夜間では電気の需要に大きな差があります。
電力会社は日中の電力需要を満たせるように発電計画をたてますが、安定して大規模に発電できるベースロード電源は出力を細やかに調整するのが苦手です。
つまり、夜の余りがちな電気をムダにしたくないので、夜間に電気を使ってもらうための対策として、深夜の電気を安く設定した料金メニューを用意しているのです。
深夜電力が使えるのはいつ? プランごとの違い
深夜電力の時間帯や料金は、電力会社や電気料金プランごとに異なります。
電気料金プランごとの深夜電力(夜間電力)が使える時間帯
時間帯 | |
---|---|
東京電力 夜トク8 | 23時〜翌7時 |
東京電力 夜トク12 | 21時〜翌9時 |
関西電力 はぴeタイムR | 23時~翌7時 |
中部電力 スマートライフプラン | 22時~翌8時 |
中部電力 スマートライフプラン (朝とく) | 23時~翌9時 |
中部電力 スマートライフプラン (夜とく) | 21時~翌7時 |
このように、夜間電力が使える時間帯は電気料金プランによって異なります。
さらに日中の電気の単価が休日と平日、夏とその他の季節で変わることもあるため、契約前にプランをよくチェックしてください。
デメリットは昼の電気代が高くなること
夜間の電気が安くなる分、昼間の電気代が高くなってしまうのが夜間電力プランのデメリットです。
昼と夜の料金差が大きいほど夜間の電気を使うメリットが大きくなりますが、昼間に電気をたくさん使ってしまうと節約効果が大きく減ってしまいます。
夜間電力の時間帯がライフスタイルと合うかチェックしてください。
東京電力「夜トク8」
電気の単価 | 料金差 |
---|---|
昼間 32.14円/kWh 夜間 20.78円/kWh | 11.36円/kWh |
東北電力「よりそう+ナイト8」
電気の単価 | 料金差 |
---|---|
昼間 21.69~34.19円/kWh 夜間 10.92円/kWh | 最大23.27円/kWh |
北陸電力「エルフナイト8」
電気の単価 | 料金差 |
---|---|
昼間21.46~28.72円/kWh 夜間8.99円/kWh | 最大19.73円/kWh |
電力会社の料金プランによって幅はありますが、昼間と夜間の電力料金には大きな料金差が設定されています。
夜間電力が使える時間帯と日中・夜の差額に注目しながら家電を使いましょう。
深夜電力を効率的に使うには
夜間の電気料金が安くなる料金プランの場合、昼間の電気料金は通常の料金プランに比べて割高です。
そこで、電気料金の高い昼間は太陽光発電の電力を使い、電力会社から供給される電力はできるだけ夜間だけ使うのがお得です。
夜間電力をお得に活用するアイデア
- 夜間の電気を蓄電池にためて日中に使う
- 夜間の電気でエコキュートを使う
- 日中の電気は太陽光発電の電気でまかなう
深夜電力のデメリットは太陽光発電で解決
太陽光発電の発電量が多い日に、発電した電力を自家消費すれば、昼間に高くなる電力会社の電気を買う必要はありません。
さらに、余った太陽光発電からの電力を蓄電池に貯めておけば、夜間や悪天候の日に使うことができます。
5kWの太陽光発電を設置した場合、発電量が多い日なら最大20kWhの電力を作ることが見込めます。
余った電気は売って収入にすることもできますが、蓄電池に貯めて使えば電気代ゼロも実現可能です。
太陽光発電が夜間電力と相性が良い理由
- 夜間電力プランで、割高な日中の電気を買わなくて済む
- 余った電気は売ることができる
- 蓄電池があれば充電できてお得
太陽光発電には、売電量を増やせば収入になり、自家消費すれば電気代が大幅に安くなるというメリットがあります。
深夜電力で得をする人
日中よりも電気代が安い深夜電力ですが、契約さえすれば誰でも得をするのではない点には注意しなければなりません。
深夜電力のメリットをより生かせるのは、昼間は仕事などで外出し家にいない時間が多い人です。日中の高い電気代をあまり使わなくて済みます。
蓄電池を設置している人も、安い電気を貯めておけるので深夜電力への契約がおすすめです。
また、オール電化住宅やエコキュートを設置している人も、深夜電力を効率的に使えばお得になるでしょう。
主な深夜電力プラン
深夜電力プランは、電力会社ごとに多様なラインナップがあります。
ここでは深夜電力をA、B、Cの3つに分類して紹介します。プランの名称は各電力会社によって違うので、契約する前に確認しましょう。
【深夜電力A】電力使用量が少ない人向けのプランで、一般的には小型の電気温水器や0.5kW以下の電化製品に対応しています。
【深夜電力B】夜間に電気使用量が多い人向けのプランで、電気温水器に加えてエコキュートなども導入している場合にもおすすめです。
【深夜電力C】夜間だけに限らず、深夜電力Bよりも多くの電力を使う人に向けたプランです。
深夜電力と蓄電池で電気代はどのくらい節約できる?
蓄電池に深夜電力を貯めることで、電気代がどのくらい節約できるのでしょうか。
それには、時間帯による電気料金の比較を行い、具体的に安くなる金額を算出してみると分かりやすくなります。
東京電力の従量電灯Bと、蓄電池を使用した夜トク8の電気料金プランで比較してみましょう。
蓄電池を使用しない場合の1日あたりの電気料金は、従量電灯Bで約600円です。夜トク8の夜間電力を昼間に使用した場合、1日あたりの電気料金は約530円になります。
1日あたり約70円お得になり、年間約2.5万円、10年間で約25.5万円分の電気代節約が期待できます。
こうした充電と放電のタイマー設定は蓄電池の機能で自動化できますので、まめに操作する手間はありません。
深夜電力+太陽光発電+蓄電池で電気代をさらに節約!
深夜電力と蓄電池を組み合わせることで、夜にためた電気を昼に使うことができるため電気代がお得になります。さらに、そこに太陽光発電を組み合わせることで、さらに電気代を節約することができます。
たとえば、深夜電力を15kW使用し太陽光発電を5kW発電したときはどうでしょうか。
仮に夜間料金が20円/kWであれば、1日15kWの使用量で300円程度の電気代で済むでしょう。
また、夜間電力と蓄電池を使い、すべて夜間電力で賄った場合、夜間電力が20円/kW、使用電力1日20kWとすると、1日の電気代は400円になります。
さらに太陽光発電を夜間電力と蓄電池に加えると、発電量が多い日なら電気代はほぼかかりません。「夜間電力+蓄電池」と「夜間電力+蓄電池+太陽光」では、使用電力が1日20kWだった場合、電気代に1年で最大14万6000円、10年で最大146万円の差額が出ることになります。
なお、太陽光で発電した電気はFIT(固定価格買取制度)を使い、電力会社に売ることができます。
蓄電池を併用すると売電できる電力量を増やせますが、かつてはこうした使い方を「ダブル売電」と呼び、買取価格が数円安くされるデメリットがありましたが、2019年度からは問題にならなくなりました。しかし、太陽光の電気は自家消費するほうがお得なことに変わりはありません。
太陽光発電からの発電量が少ない日には、夜間に安い電気を買って蓄電した電力を昼間に使うことができることもポイントです。
蓄電池とは
蓄電池は、充電で内部に電気を貯めれば何度でも繰り返し使える電池です。家電に適しているのは持ち歩きできるモバイルバッテリーではなく、据え置き型の蓄電池です。
充電できる電力量や寿命はメーカーや製品によって異なります。蓄電池の寿命は年数にすると15年~30年にわたり、長いあいだ使い続けることができます。
蓄電池に充電するには、電力会社から電気を買う方法と太陽光発電で作った電気を貯める方法があります。電気を貯めて自家消費や災害時への備えに活用できるため、蓄電池は近年より注目を集める機器になりました。
太陽光発電とは
太陽光発電は、太陽光を利用して電気を作る再生可能エネルギー設備です。太陽光パネルに太陽光が当たると電気が作られる仕組みなので、太陽さえ当たる場所なら地域を選ばず設置できます。
二酸化炭素が発生しないクリーンなエネルギーとして、国が導入促進の施策を行っているのも特徴です。
そのため、日本の太陽光発電導入の実績は大きく伸びてきました。非常時の電源としても利用できる太陽光発電の需要は、今後も着実に増えていくでしょう。
夜間電力用の太陽光+蓄電池を導入するには
夜間電力を効率的に使うと電気代を大幅に節約することができます。太陽光発電をすでに設置している人は、蓄電池を併用すると電気代をさらに安く抑えつつ、停電に備えることもできます。
ただ、節約のために、無理をして蓄電池を購入するのでは本末転倒になってしまいます。電気代節約のために導入するなら、初期費用をできるだけ安くする方法を選びましょう。
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