災害時の蓄電池

蓄電池は自然災害時の予期せぬ停電で、電力をまかなうための有効な手段として期待されています。

電気代の節約のために蓄電池を導入するだけでなく、過去の自然災害時に蓄電池が活躍した事例も多くあるので、災害対策のために導入するという方も増えています。

今回は、災害時における蓄電池のメリットや活用事例、災害用としての蓄電池の選び方について紹介します。容量の選び方、補助金の条件や申請方法についても紹介するので、蓄電池の理解を深めておきましょう。

災害時における蓄電池のメリットと実際の活用事例

災害時

蓄電池は、災害時の非常用電源として活用できる優れた製品です。

2016年4月に発生した熊本地震では、家庭用蓄電池が大いに活躍した事例があります。ここでは、災害時における蓄電池のメリットと過去の活用事例を紹介します。

災害時に蓄電池があるメリット

災害時に蓄電池があるメリット

地震や台風、洪水などが起こり、停電が発生する時期は予測ができません。そのような予期せぬ災害が起こったときに蓄電池があれば、電源が確保できるという大きな安心感が得られるでしょう。

蓄電池で電力を確保しておけば、停電しても必要な電化製品を使うことができ、普段とほとんど変わらない生活が可能になります。

蓄電池を太陽光発電と組み合わせると、日中に発電した電力を蓄電池に補給できるため、長期間の停電に備えることも可能です。悪天候が続いて太陽光発電で十分な電気が得られなかった場合でも、蓄電池はその弱点をカバーできるでしょう。

蓄電池の災害時における活用事例

蓄電池の災害時

災害時に活用された事例として、熊本地震について紹介します。熊本地震では約48万世帯が停電し、復旧するまで最大5日間を要しました。停電で電気が使えない中でも、蓄電池を設置していた家庭では、復旧までの三日三晩、電気を使うことができたのです。

蓄電池により乳児用のミルクを作る、ご飯を炊くといった生活する上で欠かせない使い方ができました。近所の被災した人にもお湯や電気を分けて、避難所のような役割を果たせた点にも注目すべきです。

災害時に近隣の人々と助け合うことで1人ではないという安心感が得られ、復興へのさらなる足掛かりにもなることでしょう。

災害時の備えに!どんな蓄電池を選ぶべき?

災害時の備え

災害時の備えとして蓄電池を購入するなら、どのようなものがよいのでしょうか。ここでは、蓄電池の選び方のポイントを挙げていきます。

注目すべきは、災害時に家電を使うために必要な容量はどれくらいなのか、持ち運びできるのか、という点でしょう。

蓄電容量をチェック

蓄電容量

災害時に蓄電池を使うためには、どのくらいの容量が必要なのかを把握するのがポイントです。たとえば、一般的な4人家族の世帯で使われる1日あたりの電力使用量は、平均で13kWh程度とされています。

災害時には、エアコンや電子レンジなどの電力消費の多い家電の使用を控えて、電気の使用量をできるだけ抑える工夫が必要になるでしょう。そうすれば、容量8kWhの蓄電池で12時間以上は電力を確保できることになります。

ただし、オール電化の場合には、1日20kWh以上の電力が必要になると考えられます。その場合には、災害時の家電使用をなるべく抑えることで、容量8kWhの蓄電池で10時間程度の電力が使えるでしょう。

そのため、自分の家庭で普段使用している電力量はどのくらいなのか把握しておくことが大切です。スマートメーターに切り替わっている場合は、契約している電力会社のサイトなどから確認できます。その上で、設置する蓄電池の容量を決める必要があります。

家庭用蓄電池の容量の目安はどのくらい?万が一に備えてゆとりをもって選ぼう

使用する電化製品と出力端子をチェック

出力端子

災害時に使える蓄電池は、大きく3つのタイプに分けられます。

「独立型」は電力会社からの電気を充電するもので、蓄電池のコンセントに電気器具のプラグを差し込み電力供給する製品もあります。ただし、太陽光発電からの電気は供給できません。

「連係型」は、電力会社と太陽光発電の両方から充電できるタイプで、自動で電気を蓄える機能があります。手動での操作が必要ないので、災害時に重宝するでしょう。

「EV対応型」なら、パワーコンディショナ機能を備えているためEVから充放電ができ、EV自体を蓄電池として使えます。

災害時には設定した電化製品からほかの製品に切り替えられる蓄電池もあるので、使いたい電化製品や出力端子など用途に合わせて選ぶようにしましょう。後から電化製品に合わせて給電先を変更するには、適合する出力端子を取り付けるための工事が必要となるため手間と費用がかかります。

持ち運びの有無をチェック

ポータブル蓄電池

蓄電池には、持ち運びのできる「ポータブル型」と、工事で設置し固定する「定置型」があります。

小型のポータブル型は室内に置くタイプの蓄電池で、設置工事が不要なので手軽に導入できる点がメリットです。災害時に携帯電話を充電する、ラジオを付けて情報を得るなど、電力量の小さい製品を短時間使うのに適しています。容量は小さく2kWh程度までのものが多いです。

定置型は屋外に設置するタイプで、一般的な家庭用蓄電池の容量が5kWh程度なのに対し、大容量のタイプなら10kWh以上の製品もあるのが特徴です。分電盤に接続されているので、電化製品のコンセントを差すだけで面倒な操作はありません。災害時に、家庭内の電力を幅広く使いたい場合に適しています。

蓄電池は災害時に本当に役立つのか?

災害時に備えて蓄電池を設置したのに、いざという時に使えなくなることはないのでしょうか。

ここでは、蓄電池に関する不安について、被災した場合にも使えるのか、容量はどうかと言った点を挙げてみました。蓄電池は、万が一のときに間違いなく役立つのかを説明します。

蓄電池自体が被災して使えなくなることは?

自然災害で蓄電池自体が被災した場合に、使えなくなることはないのか心配になることもあるでしょう。しかし、蓄電池の設置時には、地震で大きな揺れが発生しても倒れないように、工事の際に基礎を作り機器がしっかり固定されます。

室内据え置き型の場合には転倒防止スタンドが付けられ、衝撃にも耐えられる構造で製造されているので使えなくなることはありません。蓄電池の設置を検討する際には、製品が災害に強い構造になっているのかを確認しておくと安心でしょう。

もしものときに容量がないことは?

蓄電池の容量は大切なポイントなので、一般的な4人家族で必要とされる5~7kWh程度の不安を解消できる容量の製品を選びましょう。

蓄電池には太陽光発電と組み合わせて充電が可能な製品もあり、設置しておくと災害時にも安心です。蓄電池の充放電状態や残量がわかるシステムもあるため、残量を見ながら電力使用ができます。
さらに、蓄電システムの中には、災害時に備えて30%程度の電力を使わずに自動でバックアップし常時蓄えておけるタイプもあります。貯めた電力を使いすぎずに貯めておけるので、災害時にも安心です。

災害に備えた家庭用蓄電池システム導入には補助金も利用可能

補助金の利用

蓄電池の購入にあたっては、資源エネルギー庁の「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」を利用すれば、導入費用の一部を補助してもらえます。ただし、補助金の利用には条件があるため、対象になるのかを確認する必要があるでしょう。

この補助金は、すでに太陽光発電を設置している人、またはこれから10kW未満の太陽光発電を設置する人が対象です。また、「災害時にグリーンモードへの切り替えが可能で、遠隔で動作状況が確認できるもの」という条件も満たさなくてはなりません。

グリーンモードとは、太陽光で発電した電力の余った分を充電し、発電量が足りなくなったときに放電する機能です。遠隔操作ができない場合には、グリーンモードのみの運転が可能なものでもよいことになりました。

最大60万円が補助されることになりますが、種別や容量によって補助される金額は変わります。

【最新】家庭用・産業用蓄電池の補助金情報

蓄電池は災害時にも節約にも役立つ!

蓄電池

以上のことから、蓄電池は災害時の非常用電源としてもおすすめです。蓄電池は太陽光発電と組み合わせることで、平常時には電気代の節約にもなります。

安心と便利を手に入れて結果的に節約できる!蓄電池のメリット・デメリット

さらに、売電量を増やす効果が期待できる点も見逃せません。このように多目的に使える蓄電池は、災害への不安解消のためにも将来を見据えながら導入を検討したいものです。

導入の際にできるだけ初期費用を抑えるには、タイナビ蓄電池の一括見積りの利用をおすすめします。求める製品の性能や容量について効率的に比較検討でき、適切な製品を選べるでしょう。