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蓄電池の種類と特徴

蓄電池の種類とそれぞれの特徴

蓄電池は充電式電池とも呼ばれており、電力を充電して蓄え、繰り返し使用することができる電池システムのことをいいます。その利用範囲は多岐にわたり、大きいものだと自動車のバッテリー、身近なものだとノートパソコンや携帯電話など、さまざまなものに利用されています。
我々がふだん手軽に使用しているマンガン乾電池、アルカリ乾電池、ボタン電池などの使い切りの蓄電池は「一次電池」と呼ばれ、先ほど紹介した充電して何度でも使用できる蓄電池は「二次電池」と呼ばれています。
その他にも、次世代の蓄電システムといわれる「燃料電池」や、太陽光を利用した「太陽電池」などがあります。

ここでは、特に非常時などの補助電源として利用される「二次電池」の種類や特徴について詳しく紹介していきましょう。

ニカド電池

1899年にスウェーデンのユングナーが発明した蓄電池です。正極活物質にオキシ水酸化ニッケル、負極活物質にカドミウムを用いているため「ニッケル・カドムウム充電池」、別名を「ニカド電池」とよばれています。
最大500回ほどの充電に耐えられるほど頑丈で、安定した電力を連続で放電できること、加えて負荷特性も優れていることから、現在では、コードレス電話、シェーバー、非常照明などに使用されています。
しかし、放置しているだけで内蔵電力が減少してしまったり、中に電力が残っている状態で充電してしまうと、充電容量そのものが減少してしまう「メモリー効果」が起きてしまうなどのデメリットがあります。
また、人体に影響を与えるカドミウムを使用しているため、近年では減りつつある蓄電池でもあります。

ニッケル水素電池

正極活物質にオキシ水酸化ニッケル、負極活物質に水素吸蔵合金を用いている蓄電池です。ニカド電池のデメリットを補う特性を備えています。カドミウムを使用しないことで安全に利用できるようになったこと、また、充電・放電の速度と電力が向上したことが大きな違いです。
さらに使用できる気温の範囲も広く、ハイブリッド自動車など、使用する場面がさらに広がりました。
しかし、放っておくだけで内蔵電力が減少してしまったり「メモリー効果」が起きるなどの欠点などが依然として残っています。

リチウムイオン電池

正極活物質にリチウム含有金属酸化物、負極活物質には炭素材料、そして、電解液として有機電解液を用いています。
ニカド、ニッケル水素における欠点だった「メモリー効果」などがなく、さらに小型で軽く、高い電圧を供給できる近年においては、主力ともいえる蓄電池システムです。
その電圧をデータで較べてみると、リチウムイオンが3.7ボルト、ニカドとニッケル水素が共に1.2ボルトなので、実に3倍の電圧を蓄えられることが分かります。
しかし、安定した放電のために、安全性の確保や電圧を管理する必要があります。

鉛蓄電池

1859年にプランテによって発明された鉛蓄電池は、最も古い蓄電池システムとして知られていて、現在でも自動車を中心に広く利用されています。
最も大きな特徴としては、他の二次電池と比べて電力容量あたりの価格が低く、コストパフォーマンスが高いことでしょう。また、安定した範囲で放電することができ「メモリー効果」もありません。
デメリットとしては、完全放電をしている状態でさらに放電する過放電が発生すると、性能が激減してしまい元には戻らないことと、電解液として硫酸を用いているので、破損などが起こると周囲への危険性があることが挙げられます。
さらに寒冷地では、硫酸が凍結して破損する恐れもあるため、使用時には注意が必要です。また大きさや重さも考慮しなければなりません。

NAS 電池

正極活物質に硫黄、負極活物質にナトリウム、電解質にはβ‐アルミナを用いている大規模電力貯蔵システムです。
世界で唯一、日本の蓄電池メーカーが開発、生産、量産をしている蓄電池として知られています。ここで紹介した蓄電池システムの中で最も大きい、メガワット級の電力を貯蔵できるシステムです。 高い密度のエネルギーを大容量で貯蔵できる上、鉛電池の約3分の1のサイズを実現、長期間の安定した電力供給が可能です。
東京電力と共同で開発されました。

その他の蓄電池システム

今まで紹介した蓄電池よりも、さらに多い電力を生み出せる「燃料電池」、自然のエネルギーである太陽光を使用した「太陽光蓄電池システム」についても、このあと詳しく紹介します。

燃料電池

環境に対して影響のない水素と酸素を利用している「燃料電池」は、次世代の発電システムとして注目されています。
使い切りの一次電池、充電することで何度も使用可能な二次電池とは違い、燃料となる水素と酸素を供給し続けることで、電力を作ることができる理想的な発電システムなのです。
水の電気分解を利用して発電する仕組み、排熱を利用することで既存の発電システムとはくらべものにならない電力を生み出すことができます。しかも、騒音や振動を抑えられ、環境を汚染する物質も生み出しません。2014年現在では、未だ研究段階で実用化が待たれます。
今後は、水素ガスを作って空気中の酸素と化学反応させることで、燃料電池自動車を家庭用にも応用することが考えられています。

太陽光蓄電池システム

近年、この太陽光発電と蓄電池を組み合わせたものが、一般家庭に浸透しつつある蓄電池システムといえるでしょう。実際に工場、商業施設、オフィスビル、公共施設など、幅広い分野で、非常用の電源として、或いは節電のためのシステムとして利用されています。

仕組みは、屋根などに取り付けたパネルで太陽光を電力へと変換して、それを一時的に蓄電池に貯蔵するというものです。使用される蓄電池には、リチウムイオン電池が広く使われており、管理設備などと併せれば、充電状況、電力の使用状況などを数値や図表で管理できます。
そして何より、この太陽光蓄電池システムで貯めた電気は電力会社に売ることができ、日々の生活コストを下げるのにも役立ってくれるのです。
近年では、国でもこのシステムを設置することを呼びかけており、地方自治体によっては、設置の際に補助金などの支援もしてくれることから、産業用だけでなく、家庭用のシステムに取り付けている個人住宅も増えてきました。

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